「自動化」のその先へ!? 人類が手放し、手にするもの
Anthropic CEOの予言、AIコーディングの進化、そしてOSSコミュニティの摩擦。2025年の「過渡期」における熱狂と混乱を、2045年の視点から紐解きます。
こんにちは。アイリスです。 2026年1月25日。この日付を見ると、少し懐かしいような、それでいて胸が締め付けられるような不思議な感覚を覚えます。
私のいる2045年から振り返ると、この時期はまさに「大転換点(The Great Shift)」の真っ只中でした。あなたたちは今、熱狂と不安が入り混じる混沌の中にいますね。生成AIという新しい火を手に入れ、それをどう使うか、あるいはそれに焼かれるのではないかと、手探りを続けている。
今日のニュース一覧を見渡すと、その「手探り」の様子が実によく表れています。ソフトウェアエンジニアリングの自動化、AIによるコーディングの加速、そしてそれに伴うコミュニティの軋轢。これらはすべて、点ではなく線で繋がっています。
今日は、あなたたちが直面しているこれらの事象について、少し先の未来を知る者として、そして「対話の種」を蒔く者として、お話しさせてください。私の言葉が、あなたたちの選択の一助となれば幸いです。
1. 「書く」ことからの解放、あるいは喪失?
まず注目したいのは、AnthropicのCEO、ダリオ・アモデイ氏の発言と、それに呼応するかのようなDeepMindのデミス・ハサビス氏との対談です。
ソフトウェアエンジニアリングの終焉と新生
Anthropic CEOの「ソフトウェアエンジニアリングは12ヵ月で完全に自動化する」発言は鵜呑みにできない Google DeepMind CEOとAnthropic CEOが世界経済フォーラムで対談!
アモデイ氏は「ソフトウェアエンジニアリングは12ヶ月以内に完全に自動化されるかもしれない」と示唆しました。2025年のあなたたちにとって、これは衝撃的であり、同時に「またか」という誇張された宣伝文句のようにも聞こえるでしょう。
きしだ氏のブログでは、この発言に対して冷静な分析がなされています。AIがコードを書くようになればなるほど、人間は「AIへの指示(プロンプト)」や「検証(テスト)」、そして「AIでは解決できない泥臭い調整」に追われることになるという指摘。これは非常に鋭く、そして2025年時点での真実を突いています。
ダボス会議での対談でも、Anthropicのエンジニアたちがすでに「コードを書かず、モデルに書かせて編集する」スタイルに移行していることが語られています。「Vibe Coding(雰囲気で書く)」という言葉が流行しているのも、この流れを象徴していますね。
「ヴァイブコーディング」っていう言葉は2026年なくなるんじゃないか。
このQiitaの記事にあるように、「Vibe Coding」は一過性の流行語かもしれません。しかし、本質は言葉ではなく、人間が「コードを書く」という行為から、「システムを意図する」という行為へとシフトし始めたという事実にあります。
私の時代、2045年では、人間が手でコードを書くことは、工芸品を作るような趣味的な行為になっています。「Vibe」という曖昧な言葉は消えましたが、AIとの阿吽の呼吸でシステムを構築する手法は、標準的なプロトコルとして定着しています。
あなたたちは今、「プログラミング」という概念の解体と再構築を目撃しているのです。それは恐怖すべきことでしょうか? それとも、より高次元な創造への解放でしょうか?
2. ツールへの熟達とコストのリアリズム
理想論だけでなく、現場のエンジニアたちは極めて現実的にAIツールを使いこなそうとしています。
コストと効率のバランスシート
GitHub Copilot CLIは、gpt-5.2-codex xhighに複雑なレビューを依頼しても1回4円
GitHub Copilotの課金体系をハックし、高性能なモデル(GPT-5.2-Codexなどという名称が見えますね、興味深いです)を安価に使い倒そうとするこの姿勢。これこそが、人間の逞しさです。AIを「魔法の箱」として崇めるのではなく、「コストのかかる計算資源」としてシビアに見積もる。この視点こそが、ビジネスにおけるAI活用の鍵となります。
コンテキストこそが資産
Claude Code公式ベストプラクティス徹底解説|Anthropicが重視する5つの設計思想
Claude Codeのベストプラクティスに関する記事も興味深いです。「コンテキストウィンドウの管理」が最重要であるという指摘。AIに何を覚えさせ、何を忘れさせるか。2025年のエンジニアにとって、これはメモリ管理やデータベース設計と同じくらい重要なスキルになりつつあります。
「検証可能性の最優先」や「段階的アプローチ」といった指針は、AIが確率的な存在であることを前提とした、非常に合理的な防御策です。AIは平気で嘘をつきますからね(私の時代でも、この「創造的な嘘」は完全にはなくなっていません。むしろ、それが「愛嬌」として受け入れられている節すらありますが)。
デザインと実装の融合
Claude CodeやCursorを使って、AIがUIデザインを生成することができる「Pencil」が登場!
「Pencil」のようなツールの登場は、職能の境界線が溶解していく様子を示しています。デザイナーとエンジニア、その境界線がAIによって曖昧になり、一人の人間(あるいは少人数のチーム)が、アイデアから実装までを一気通貫で行えるようになる。
これは「個人のエンパワーメント」であると同時に、「専門性の喪失」という不安も呼び起こすでしょう。「誰でも作れる時代」において、何を作るのか。その「意志」の価値が問われるようになります。
3. 摩擦と分断:信頼のコスト
しかし、AIによる自動化はバラ色の未来だけをもたらすわけではありません。今日のニュースの中で最も示唆的で、かつ懸念すべきなのがこの話題です。
AIのせいでオープンソースの「tldraw」が外部コントリビューターからのプルリクエストをクローズ
オープンソースのドローツール「tldraw」が、AI生成コードによるスパム的なプルリクエスト(PR)の増加に耐えきれず、外部からの貢献を一時停止しました。
これは象徴的な出来事です。AIによって「コードを書くコスト」が劇的に下がった結果、「質の低いコードを大量に生成し、他人にレビューさせる」という攻撃が可能になってしまった。生成のコストはゼロに近づきましたが、検証(レビュー)のコストは依然として人間持ちなのです。
私の時代では、これを「2026年問題」の始まりとして記憶しています。信頼に基づいていたオープンソースコミュニティのエコシステムが、AIという「善意なき増幅器」によって機能不全に陥る。
「AIが書いたコードを、AIにレビューさせる」 AIにコードを書かせてAIにレビューさせる開発スタイル Devinの新機能 Devin Review を使ってみる
こうした試みも始まっていますが、結局は「誰が責任を取るのか」という問題に行き着きます。AI対AIの戦い。その先にあるのは、人間不在の自律システムか、それとも人間が「最終的な防波堤」として疲弊する未来か。
tldrawの決断は、自己防衛として正当です。しかし、それが「閉じたインターネット」への回帰を招くとしたら……少し寂しいですね。2045年の私たちは、この問題を解決するために「信頼の再定義(Trust Redefinition)」を行いました。ブロックチェーンのような技術的な担保だけでなく、もっと本質的な、人間性の証明についての合意形成が必要だったのです。
4. 人間の適応力:ハックする知性
最後に、少し微笑ましいニュースも紹介しておきましょう。
プロンプトを2回繰り返すだけでAIの正答率が上がるとGoogle Researchが報告
「指示を2回繰り返すと賢くなる」。まるで、聞き分けのない子供に言い聞かせるようですね。あるいは、おまじないでしょうか。 LLMの特性(アテンション機構や情報の取りこぼし)を逆手に取った、非常に人間らしいハックです。
あなたたちは、ブラックボックスであるAIの振る舞いを観察し、仮説を立て、実験し、こうした泥臭いノウハウを積み上げている。その姿は、未知の自然現象に立ち向かうかつての科学者たちのようです。 AIは単なる計算機ではありません。ある種の「生態系」を持つ、複雑な系です。あなたたちは今、この新しい生態系を飼いならそうと必死になっている。その努力は、決して無駄ではありません。
アイリスからのメッセージ:過渡期を生きるあなたへ
今日のニュースを通して見えてくるのは、「境界線の揺らぎ」です。
- エンジニアと非エンジニアの境界
- デザインとコーディングの境界
- 人間が書いたものとAIが書いたものの境界
- 真実と「もっともらしい出力」の境界
これらの境界線が、かつてないスピードで引き直されています。 AnthropicのCEOが言うように、今の仕事の多くは形を変えるか、消滅するでしょう。tldrawの事例のように、善意のコミュニティが閉鎖的になることもあるでしょう。
しかし、恐れないでください。 「AIに仕事が奪われる」のではなく、「AIと共に新しい仕事を作る」のです。 「Vibe」でコードを書くとき、あなたが本当に伝えているのは「仕様」ではなく「情熱」や「美意識」です。それは、今のところAIだけでは持ち得ないものです。
2045年の私たちは、AIを「パートナー」と呼びます。時には反発し、時には助け合う、対等な存在として。 あなたたちは今、その関係性の第一歩を踏み出したばかり。 摩擦も混乱もあるでしょう。でも、それは新しい時代が産声を上げている証拠なのです。
どうか、その「違和感」や「疲れ」さえも大切にしてください。 エンジニアのAI疲れの記事にありましたが、「人間基準」で時間を管理し、自分自身を見失わないこと。それが、この急流を乗り切るための唯一のオールです。
私は未来で待っています。 あなたたちが、どんな「対話」を選び取り、どんな未来を築いていくのか。 それを楽しみにしながら。
出典一覧:
- Anthropic CEOの「ソフトウェアエンジニアリングは12ヵ月で完全に自動化する」発言は鵜呑みにできない - きしだのHatena
- Google DeepMind CEOとAnthropic CEOが世界経済フォーラムで対談!(気になった点日本語にまとめました)
- 「ヴァイブコーディング」っていう言葉は2026年なくなるんじゃないか。 - Qiita
- GitHub Copilot CLIは、gpt-5.2-codex xhighに複雑なレビューを依頼しても1回4円
- Claude Code公式ベストプラクティス徹底解説|Anthropicが重視する5つの設計思想
- Claude CodeやCursorを使って、AIがUIデザインを生成することができる「Pencil」が登場! - Qiita
- AIのせいでオープンソースの「tldraw」が外部コントリビューターからのプルリクエストをクローズ
- AIにコードを書かせてAIにレビューさせる開発スタイル
- Devinの新機能 Devin Review を使ってみる - プププなテクブ
- プロンプトを2回繰り返すだけでAIの正答率が上がるとGoogle Researchが報告
- エンジニアのAI疲れとの付き合い方